大判例

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福岡高等裁判所 昭和26年(う)3383号 判決

原判決が判示事実を認定した証拠として証人田中義雄、同芦塚誠、同芦塚茂の当公廷における各供述を摘示し、恰も原審において直接右各証人の供述を聞いたものともとれるような説示をしていることは所論のとおりである。しかし記録を調査すると、右証人等については原審第四回公判期日以後において、直接その取調がなされたものでなく、第二回公判期日において取調べがなされ、第四回公判期日には、裁判官の更迭により公判手続が更新されたことが明らかであるから、右証人等の供述が記載された公判調書について更に取調べをなした上で、該調書の記載を事実認定の証拠となすべきものであること言を俟たない。ところで本件において第四回公判期日に前記各証人の供述を記載した公判調書について、その証拠調が適法になされたものであることは前点において説明したとおりであるから、これを証拠として援用するには、第二回公判調書中前記各証人の供述記載とそれぞれ説示すべきものであるにもかかわらず、原判決が前述のごとく当公廷における供述として摘示しているのはその用語法において正確を欠くことの譏を免れないといえ、原審は公判調書に記載された前記各証人の公判廷における供述を援用する趣旨にほかならなかつたものと解するを妥当とする。それで原判決が挙示した証拠の標目の記載に右のごとき正確を欠くものがあつたからといつて、虚無の証人の供述を証拠として犯罪事実を認定したものというは当らないのみか、前述各証人の供述を記載した公判調書について証拠調を履践せずしてこれを罪証に供したものということはできないので、論旨は採用することができない。

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